亀ドク的「ファスティングの都市伝説」




亀ドク的「間欠的ファスティング」シリーズ!今回は亀ドク的「ファスティングの都市伝説」です。

Fasting Myths

by Dr. Jason Fung, M.D. in Intermittent fasting

 

亀ドク的英文記事意訳

本文はこちら

Fasting Myths

 

ファスティングに関する都市伝説

ファスティングでは多くの都市伝説が語り継がれています。この都市伝説は何度も何度も繰り返し聞かされるため、間違いではなく本当だと思っている人も多いのです。その都市伝説には次のようなものがあります:

・ファスティングするといわゆる「飢餓状態」になる

・ファスティングすると飢えで耐えられなくなる

・ファスティンは回復食の時に食べ過ぎを引き起こす

・ファスティングするとゴッソリ筋肉が無くなる

・ファスティンは低血糖を引き起こす

・脳が働くにはブドウ糖が必要

・ただおかしくなっただけ?

それは以前から間違いだとわかっているのですが、いまだファスティングの都市伝説だけは語り継がれています。もしそれが本当ならば、我々はこんにち地球上に存在しないでしょう。

 

ファスティングは筋肉を燃やし、脳の健康状態を悪化させるでしょうか?

エネルギーとして、筋肉を燃やすと仮定してみましょう。長~い冬の間、食べ物が採れない日々がずっと続きました。初めて食べ物が採れなかった日には、ひどく弱ってしまいます。何日かそれを繰り返すと、狩りをすることも食べ物を集めることもできないほど弱ってしまいますよね。人類は種として生き残ることが出来なかったでしょう。

質問を変えましょう。ヒトがタンパク質をエネルギーとすることを前提に創られたモノだとすると、脂肪をエネルギーとして貯蔵する理由は何でしょうか?答えは前の記事でもお話したように、もちろん筋肉を燃やさないようにするということです。

ほら、ただの都市伝説だったでしょう。

脳細胞がしっかりと機能するためには「ブドウ糖が必要だと」という主張も永遠語り継がれる都市伝説です。これは間違いですよね。動物の中でも特に優れたヒトの脳は、長い飢餓の間に主なエネルギーとしてケトン体を使うことができ、骨格筋などのタンパク質を使わなくて済むように出来ているのです。

ブドウ糖が生存のために絶対に必要なのであれば、もう一度考えてみてもいいですが、人類は種として生き残ることはできなかったでしょう。

24時間経つとブドウ糖が枯渇し、脳へのエネルギーが途絶えると、我々は泣き叫ぶただの馬鹿になってしまったでしょう。野生動物に対する唯一の長所である知性は無くなってしまい、人類はすぐに絶滅したでしょう。

脂肪は、食べ物のエネルギーを長期間の蓄えるためのカラダの単純な仕組みであり、ブドウ糖/グリコーゲンは短期的な仕組みです。短期間の貯蔵が枯渇すると、カラダはなんの問題もなく長期間の貯蔵システムに移行します。

 

ファスティングは脂肪を燃やす。筋肉ではない。

例えば、1日起きにファスティングを行った研究では、筋肉損失に対する考え方が間違っていたことを示しています。70日間の1日起きのファスティングで、体重は6%減少し、脂肪は11.4%減少しました。(筋肉と骨を含めた)徐脂肪量は全く変わりませんでした。LDLコレステロールおよび中性脂肪の値は顕著に改善が見られました。筋肉量を維持するために、成長ホルモンが増加しました。1日1回の食事を摂る研究では、同じカロリー摂取量にもかかわらず脂肪量が優位に減少しました。重要なことは、筋肉が失われたということは研究結果に示されなかったことです。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17413096

さらに最近の研究では、ファスティングとカロリー制限のランダム化比較試験によって、ファスティング群では筋肉が「燃え尽きてしまう」という証拠は見当たりませんでした。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27569118

この試験では、ファスティング群は1日おきに36時間のファスティングする方法(1日起きのファスティングまたはADF)に取り組みました。

いわゆる「専門家」の中にはファスティングは1日当たり約150gの筋肉を燃やすという人もいます。これは1週あたり450gの筋肉を失うことと同じで、32週間の研究では、ファスティング群は14.4kgの筋肉を失わなければなりません。実際に減ったのは1.2kgでしたが、重要なことはカロリー制限(1.6kg)よりももっともっと少なかったということです。また、体重減少群では幾らかの除脂肪量(皮膚、結合組織)が失われていましたが、ファスティング群では除脂肪量が2.2%増加していました。

私の臨床経験も同じでした。1000人以上のファンスティングの患者を治療しましたが、継続して筋力の低下を訴える患者の数は何度計算してもゼロでした。また、ファスティング中には、内臓脂肪と呼ばれる体の中心にある危険な脂肪が燃やされる量が2倍以上にもなることにも注目してください。健康において、このあたりの脂肪は皮下に貯蔵された脂肪より有害なのです。

 

飢餓状態

例を出しましょう。長期的に食べ物を保管するには冷凍庫を使用し、短期的な貯蔵には冷蔵庫を使用しますよね。1日3回、毎日、食べ物を買いに市場に行くとしましょう。冷蔵庫にも入れますが、余分なものは冷凍庫に入れます。1台の冷凍庫ではすぐにいっぱいになるので、別の冷凍庫を買って、また次の冷凍庫を買ってくることになります。何十年も経つと、10個の冷凍庫が並んでいて置き場所ももうありません。冷凍庫の中の食べ物は1日3回食べることはないのでまた食べ物を買いに行きます。冷凍庫の中の食べ物を廃棄する理由はどこにもありません。ある日、食べ物をもう買いに行かないと決めたらどうなるでしょうか?今そこにあるものを全て捨ててわざわざ「飢餓状態」に陥るでしょうか?まるで見当違いですね。私たちはまず冷蔵庫を空にします。そして、冷凍庫に厳重に保管されている食べ物を出してきて食べます。

そしてカラダにおいては、ブドウ糖は短期間のエネルギーとして、脂肪は長期間の貯蔵(冷凍庫)として用いられます。ブドウ糖がたっぷり入っていると、脂肪は燃えません。何十年ものブドウ糖まみれの生活で、脂肪の貯蔵量はどんどん増え続けます。突然ブドウ糖が摂取できなかったら、何が起こるでしょうか?今そこにあるものを全て捨ててわざわざ「飢餓状態」に陥るでしょうか?これも、見当違いです。エネルギー、そう厳重に貯蔵された脂肪をエネルギーとして放出するでしょう。

 

飢餓状態というのはよく知られた言葉ですが、1食でも食べないと死んでしまうと教えられ育てられてきた、実在しないお化けのようなものです。1年間で約1000回の食事をします。60年では60,000回です。60,000回のうち3回の食事を抜くことが、何か取り返しのつかない大変なことを起こすと考えるのは馬鹿げています。筋肉組織の破壊は体脂肪と比べて極めて低いレベルで起こります。そのたった4%です。これはほとんどの人が心配するレベルの話ではありません。心配しなきゃいけないのは、体脂肪がなく、エネルギーとして徐脂肪組織が使われてしまうような方だけです。ヒトのカラダは、飢餓を生き残れるように進化してきました。脂肪はただのエネルギーの塊で、筋肉は機能するように作られた組織です。まず脂肪が燃え尽きます。これは巨大な薪を蓄えていることに似ています。薪の代わりにソファを燃やそうとしているようなものです。馬鹿げているでしょう。どうして、自分のカラダがそんなに信用できないのですか?体脂肪がほとんど無くなるまで、カラダは筋肉を維持しようとします。


他にも語り継がれる「飢餓状態」の都市伝説は、基礎代謝が著しく減少することで、カラダが機能しなくなってしまうというものです。これも人類が生き残るのには非常に不利な条件となります。1日ファスティングの後、代謝が落ちていたら食べ物を探し回ったり、集めたりするだけのエネルギーはほとんど残っていないでしょう。エネルギーがより少なくなると、食べ物を得る機会はより低くなりそうです。となると日が経つにつれ、カラダはさらに弱くなり、食べ物を得る可能性はさらにさらに低くなっていくでしょう。これは、人類が存在することができなくなる悪循環とは思いませんか?馬鹿げています。どうして、自分のカラダがそんなに信用できないのですか?実際、毎日3食を食べないといけないように進化したら、人類という種は存在しなかったでしょう。以前の記事で、安静時のエネルギー消費量(REE)がファスティング中には下がらずに上がることを見てきました。代謝は上がるのです。落ちるのではないのです。

さらに最近の研究では、カロリー制限群が安静時エネルギー代謝率(RMR)を平均76kcal低下させたのに対し(統計的に有意)、ファスティング群はRMRを1日29kcal低下させただけでした(統計的に有意ではない)。言い換えると、カロリー制限は代謝を低下させましたが、ファスティングはしなかったと言うことです。

 

この都市伝説の出どころはわかりません。カロリー制限を毎日行うと代謝の低下を招きますので、これが食物摂取量をゼロにしたら、単純にそれが大きくなると考えたのかもしれません。しかしそれは間違いです。カラダがエネルギーを食べ物に頼っている場合、食べる量を減らすと摂取エネルギーが減るので、消費エネルギーも減ってしまいます。しかし、食べ物を食べる量がゼロになると、カラダは食べ物から貯蔵された食べ物のエネルギー(脂肪)へとスイッチを切り替えます。こうして、いわゆる「(貯蔵された)食べ物」を利用することを著しく増やし、消費エネルギーを増やすのです。

ミネソタ飢餓実験

いわゆる「ミネソタ飢餓実験」はどうでしょうか?ここでの被験者はファスティングしたわけではありません。彼らはカロリー制限食を食べさせられました。ファスティングの時に起こるホルモンの反応は起こらなかったのです。長期間の食物摂取の低下に対して、カラダは1日の総エネルギー消費量(TEE)を低下させるように働きます。

しかし、食物摂取量がゼロになると(ファスティング)すべてが変わります。カラダは総エネルギー消費量(TEE)をゼロまで下げることは絶対にできません。代わりに、その時貯蔵されている脂肪を燃やすように切り替わります。これが正しいのです。体脂肪は、食べ物がないときに食べ物の代わりに食べられるのです。おしゃれでつけているわけではありません。

 

 

 

切り換えられた燃料

 

さらに詳しい生理学的検査では、総エネルギー消費量(TEE)が維持されるか、時にはファスティング中に増加することさえ示されました。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15640462

22日間にわたる1日起きのファスティングでは、総エネルギー消費量(TEE)の測定で解る範囲では減少を認めませんでした。いわゆる「飢餓状態」にもなりませんでした。代謝も落ちませんでした。脂肪の酸化は58%増加しましたが、炭水化物の酸化は53%減少しました。これはカラダがエネルギーの総量を低下させないように、糖質を燃やすことから脂肪を燃やすことへ切り替わり始めたことを意味しています。4日間のファスティングは実際に総エネルギー消費量(TEE)を12%増加させました。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10837292

ノルエピネフリン(アドレナリン)濃度は消費エネルギーを維持するために117%もガチ上がりしました。カラダが脂肪を燃やすように切り替わると、脂肪酸が370%以上増加しました。インスリンの測定値は17%減少しました。血糖値はわずかに低下しましたが、正常範囲内でした。

ファスティングで起きるカラダにとって素晴らしい反応はすべて、低カロリー食では起こることはありません。

実際、ファスティング中のホルモンの逆転がほんの少しのブドウ糖によって起こることを見てみましょう。ケトーシスを逆転させるには、ブドウ糖7.5g(ティースプーン2杯の砂糖かソフトドリンクたったの1杯)だけで十分なのです。ブドウ糖を摂取した直後、ケトン体であるβヒドロキシ酪酸およびアセト酢酸は脂肪酸と同じようにほとんど無くなります。インスリンは上昇し、ブドウ糖も上昇します。

これは何を意味しているのでしょうか?カラダは脂肪を燃やすのをやめるということです。食べた砂糖だけを燃やすカラダに戻ってしまいました。

 

食べ過ぎるというのはどうでしょうか?

ファスティングが食べ過ぎを引き起こすかもしれないという心配は繰り返し言われてきました。摂取カロリーの研究では、ファスティング後の食事でわずかに増加することが示されました。ファスティングを1日行った後、摂取カロリーの平均は2436kcalから2914kcakに増加しました。しかし、2日間のカロリーを合計すると1958kcal少なくなっていました。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12461679

摂取カロリーの増加分も、ファスティング日の摂取カロリー不足を補うほどではありません。我々のクリニックにおける個人的な経験ですが、食欲はファスティング期間が延長するとともに減少する傾向にありました。

 

ファスティングは栄養をカラダから奪うでしょうか?ほとんどの人は十分な量の栄養を蓄えています。これがもう全てです。脂肪と呼ばれる、この栄養の一部を取り除いてくれるだけです。

 

あなたが微量栄養素やミネラルのことを心配しているのなら、一般的なマルチビタミンを飲むのは構いません。1日起きのファスティング(ADF)のように異なる方法のファスティングは、栄養欠乏に関する心配事を取り除いてくれるでしょう。

 

科学は正しいのです。ファスティングを取り巻く都市伝説は嘘ばかりでした。

 

Jason Fung

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