亀ドク的「インスリンインデックス」




亀ドク的「間欠的ファスティング」シリーズ!今回は亀ドク的「インスリンインデックス」です。

Insulin Index – Hormonal Obesity XXIII by Dr. Jason Fung

 

「亀ドク」的英文意訳

本文はこちら

Insulin Index – Hormonal Obesity XXIII

 

ホルモンによる肥満⑬ - インスリンインデックス(インスリン指数)

 

インスリン濃度は常に血糖値の上げ下げに並行すると仮定されており、これはインスリン濃度の代わりとして常用されてきたグリセミックインデックス(GI)と関連していると考えられてきました。ブドウ糖は肥満を引き起こさないので、体重管理に関してグリセミックインデックスは有用とは言えません。インスリンが肥満を引き起こすからです。インスリンインデックスにおいて、インスリン分泌量のたった23%だけがブドウ糖の量によって変化することが分かりました。言い換えると、ブドウ糖がどれだけ増えても、インスリン分泌刺激に及ぼす影響はたった23%だけと言うことです。

他の主要な栄養素である脂肪やタンパク質を加味しても、これはインスリン分泌刺激のたった10%に過ぎません。インスリン分泌刺激の大部分はまだわかっていません。インスリン分泌刺激に影響を及ぼすと思われる要因のいくつかを紹介しますと、食物繊維のあるなし、デンプン中のアミロース/アミロペクチン比がどれだけ上がっているか、精製されていない食べ物かどうか(一物全体)、有機酸のあるなし(発酵)、酢(酢酸)が加えられているか、およびチリペッパー(カプサイシン)が加えられているかなどです。今後の記事では、これらの要因のいくつかについて検討していきます。とはいえ今回の記事で取り上げるのは、インスリン分泌刺激に影響を与える食ベ物を同時に摂取すると多くの要因が合わさってしまうということです。状況は非常に複雑です。単純に「炭水化物があなたを太らせます」や、「カロリーはあなたを太らせます」、「赤身肉はあなたを太らせます」、「砂糖はあなたを太らせます!」という議論は、体重が増えることの複雑さを表していません。朝食のシリアルでさえ、インスリン分泌を刺激する様々な要素を含んでいます。例えば全粒粉の小麦は食物繊維を多く含むため、腸を活発に動かすと考えられ、コーンフレークと比較してインスリン分泌刺激がずっと少ないと考えられています。タンパク質を含む食べ物には、驚くほど強くインスリン分泌刺激があることがわかりました。例えば、牛肉や魚は実際には血糖値には影響を与えません。しかし、それらは穀物と同じぐらいインスリン分泌を刺激しているのです。とは言え、いくつかの典型的なパターンがあります。

炭水化物には、目立った傾向があります。炭水化物の総重量が増えるとともにインスリン濃度も上がります。これは思った通りです。これは、1850年代のオリジナルであるバンティング・ダイエットから現代のアトキンス・ダイエットとそれに似た多くの食事法まで、低炭水化物食の基本的な考え方になっています。摂取した炭水化物の量が肥満の発症に重要な役割を果たすことは、1世紀以上前からわかっています。しかし、この研究では、相関が完全ではないことも示されています。食べ物に含まれる炭水化物の量とインスリン分泌量との相関は比較的低いのです(23%)。

一方、脂質は、インスリン分泌を刺激しにくいことが分かっています。脂質の量が増えるにつれて、インスリン分泌刺激は減少する傾向にあります。脂質はまた、血糖にはほとんど影響を及ぼさないことも分かっていて、これもまた思っていた通りです。炭水化物はブドウ糖とインスリンをともに上昇させることも分かっています。脂質はブドウ糖を上昇させず、同様にインスリンも上昇させないのです。ここまでは思っていた通りなのです。びっくりしたのはタンパク質です。タンパク質に注目してください。グラフの線を見ると、わずかな傾向があるように見えます。タンパク質の摂取量が増えるにつれ、インスリン分泌刺激は低下するように見えます。

しかしこの傾向は、タンパク質の摂取量が非常に高い40gと60gのかけ離れた2つの値が原因となって引き起こされていることがわかります(赤丸)。これらかけ離れた値を除外して考えてみると、タンパク質の摂取量とインスリンの上昇にはあまり関係がないようです。タンパク質の中にはインスリンを多く分泌するものも、少ししか分泌しないものもあるのです。乳製品のタンパク質、特にホエイは、インスリンを分泌刺激する最大の原因と考えられます。これは、タンパク質を含む食べ物は肥満を引き起こすとも言えるでしょうし、逆に含んでいてもそれほど肥満とは関係ないとも言えるということです。このようなことから、今ある研究には不明瞭な点が多く、文献にも矛盾点が多く見つかっています。2010年のBritish Journal of Nutritionに掲載された「やせ型の男性が4種類のタンパク質を摂取した場合のインスリンとブドウ糖、食欲、エネルギー摂取の短時間の変化」という論文では、インスリン濃度がテスト食を食べた30人の男性で測定されています。

卵、七面鳥、魚およびホエイプロテインの4種類のタンパク質を摂取して測定されました。ホエイプロテインは、乳製品に見られるタンパク質の1つです。牛乳のタンパク質は、カゼインが80%、ホエイが20%です。カゼインは主に牛乳アレルギーの原因です。ホエイは、チーズを作る際に残った副産物として知られています。牛乳はカード(チーズの原料)とホエイに分かれます。ホエイプロテインは、筋肉形成において重要であると考えられる分岐鎖アミノ酸(BCAA)が高いため、ボディビルダーによってよく使用されています。この研究では他のタンパク質と比較して、ホエイは最も高いインスリン濃度を示しました。いずれのタンパク質も血糖には全く影響を及ぼさなかったにもかかわらずこの結果でした。

この研究では、被験者にテスト食の4時間後にバイキング形式のランチを食べてもらい、満腹感に対するタンパク質の影響も測定することができました。ホエイプロテインはもっとも食欲を抑えました。ホエイプロテインが体重増加に関して2つの異なる効果を持つ可能性は明らきになりました。インスリンが増えると体重増加を促進するかもしれませんが、食欲を抑えることはそれを抑制するかもしれないからです。繰り返しますが、この点に関して、私はまだ全てをお答えする段階にないことを強調しておきます。この分野の研究は常に新しくなっています。乳製品がインスリンを増加させる傾向があることは、2004年にAJCNで発表された論文「健常者における牛乳と他の食品での乳糖と同程度のタンパク質摂取後の血糖とインスリンの変化」においても確認されています。この研究では牛乳と特にホエイの影響がはっきりと示されています。実際、インスリン分泌指数は全粒粉のパンのそれをはるかに上回っていました。血糖値への影響は無視できますが、胃のインクレチンへの効果(グルコース依存性インスリン分泌性ポリペプチド(GIP)とグルカゴン様ペプチド1(GLP-1)の放出)は、インスリン増加の原因と考えられます。以前の記事では、インクレチン効果について議論しました。

The incretin effect – Hormonal Obesity XXII

ホエイプロテインのインスリン分泌刺激への影響は、他の食べ物と一緒に食べたときにも見られました。最近のイスラエルの研究では、2型糖尿病患者に対し白パンとゼリーを朝食として摂取した後に、ホエイプロテインが与えられました。

https://www.sciencedaily.com/releases/2014/07/140707212746.htm

これは血糖を大幅に増やすように作られた朝食でした。ホエイプロテインを一緒に摂ると、血糖値を28%低下させました。インクレチンホルモンの総量とGLP-1単体の量は、141%と298%増加し、インスリンの増加は主としてインクレチンによる効果であることが示唆されました。しかしこのことが問題なのです。血糖自体は体重増加や糖尿病を引き起こさないのです。増加したインスリンが引き起こすのです。その血糖はどこに行きましたか?体から無くなりましたか?肝臓に運ばれて脂肪に変わるだけです。実際には、目の前にある血液中のブドウ糖を、見えない場所の肝臓に貯蔵しただけなのです。それでいいのでしょうか?いわゆるインスリンの大量分泌が、インスリン抵抗性の発症に関連しているのはほぼ間違いないことなのです。

Insulin Causes Insulin Resistance – Hormonal Obesity X

これは、2005年の「European Journal of Clinical Nutrition」に掲載された「肉ではなく、牛乳の摂取量が多い8歳の男子では血漿インスリン濃度とインスリン抵抗性を高めた」という論文の結果から説明することができます。

http://www.nature.com/ejcn/journal/v59/n3/full/1602086a.html

 

ここで彼らは8歳の子供を研究しました。肉または乳製品のテスト食を与え、インスリン濃度を測定しました。驚くべきことは何もありません。インスリンの反応は牛乳で高く出ました。7日後牛乳グループと肉グループを比較しました。牛乳を飲んだグループはインスリン抵抗性を発症し始めました。これは、もちろん、2型糖尿病の発症に向けた第一歩であり、肥満が時間依存性に起こるという主要な役割を担っています。

Time Dependence of Obesity – Hormonal Obesity XIV

牛乳の過剰摂取からたった7日後にこれが発症するという事実はとても恐ろしいことです。この研究結果は、乳製品の摂取が体重増加につながる可能性があると言うことです。これは本当に事実でしょうか?事実は小説よりも奇なりです。

 

ホルモンによる肥満⑭に続く – 乳製品は太りますか?

Is Dairy Fattening? – Hormonal Obesity XXIV

 

ここからカロリーパート①が始まります – 何が体重を増やすのでしょう?

How Do We Gain Weight? – Calories Part I

 

講義を視聴するには – 肥満の原因3/6 – 食事療法の試み