No.059動脈硬化の成因に関して




一言コラム(第59回)【動脈硬化の成因に関して】

ウィルヒョウの
「血管内皮炎症説」はなぜ葬られたのか?

ここにきて「慢性炎症」の概念から脚光を浴びることになった
ウィルヒョウの「血管内皮炎症説」ですが、
1848年、今から170年近くも前に、心臓病で亡くなった患者を丹念に解剖しそのことを突き止めていた功績に頭が下がります。

しかし、このことが最近まで注目されることはなく、埋もれてしまっていました。
なぜ、この素晴らしい研究が埋もれてしまったのでしょう?

一つはこの「炎症」の概念を証明する手段がその当時なかったのかもしれません。
ウィルヒョウは素晴らしい病理学者でしたので、患者の血管内皮を観察することで、その優れた洞察力でこの炎症の証拠を見つけることができたのだと思います。
しかし、他人に同じものを見せても、ウィルヒョウのように観察できるとは限らず、客観的にそれを証明する手立てがなかったのでしょう。

しかし、もっと重要なのは
「コレステロール」
が、悪者であった方が都合がいい方がいたということです。

ウィルヒョウは
「医療はすべて政治であり、政治とは大規模な医療にほかならない」
と言う言葉を残し、公衆衛生に尽力したとも伝えられますが、その政治によって、自分の学説をつぶされてしまった1人かもしれません。

いつの時代も、
病因の解明よりも優先されるものがあるのかもしれません。

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《ルドルフ・フィルヒョウ》
ルードルフ・ルートヴィヒ・カール・フィルヒョウ(Rudolf Ludwig Karl Virchow、発音[?virco] / [?firco][1]、1821年10月13日 – 1902年9月5日)はドイツ人の医師、病理学者、先史学者、生物学者、政治家。白血病の発見者として知られる。
Wikiより

彼の名のついた有名な医学用語に以下のものがあります。
ウィルヒョウの三徴:静脈血栓症の形成に関する三つの徴候(血管の障害・血流のうっ滞・血液性状の変化)
ウィルヒョウ転移:胃癌の転移様式で人名がついている有名なものとして、 鎖骨上窩のリンパ節転移であるウィルヒョウ転移があります。

これを見ても優れた病理学者であったことがわかります。
ウィルヒョウの「血管内皮炎症説」も加えてほしいものです。