亀ドク的「インクレチンの効果」




亀ドク的「間欠的ファスティング」シリーズ!今回は亀ドク的「インクレチンの効果」です。

The incretin effect? Hormonal Obesity XXII by Dr. Jason Fung

「亀ドク」的意訳

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The incretin effect – Hormonal Obesity XXII

 

インクレチンの効果 – ホルモンによる肥満⑫

 

インクレチン効果とは何でしょうか? グリセミック・インデックス(GI)では、炭水化物をクラス分けする生理学的な指標が出来ました。

Carbohydrates and the Faulty GI Index – IDM II

一部、他の人より血糖値が上がる人もいます。研究者が食べ物に含まれる炭水化物を調べたところ、GIと放出されるインスリンの量(インスリン指数-II)との間には非常に密接な相関関係がありました。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10889806

 

インスリンは、主に血糖の調節に作用するホルモンです。炭水化物は血糖を上げて、インスリンはそれを下げるために上がります。脂質とタンパク質は、血糖にはごくわずかな影響しか及ぼしません。そのため、脂質とタンパク質がインスリン分泌に対しては無視できるほどの影響しか及ぼさないと、長い間考えられていました。これは事実ではありませんでした。我々は不都合な真実をちょっと無視してきたのです。脂質とタンパク質は血糖値を上昇させないので、インスリンには影響がないはずです。しかし、タンパク質とその構成成分 – アミノ酸は血糖に影響を及ぼさずにインスリンを上げることが出来るのです。

 

さかのぼること1966年、ジャーナル・オブ・クリニカル・インベストメント(Journal of Clinical Investigation)には「タンパク質摂取に反応するインスリン分泌」の論文が発表され、アミノ酸ロイシンの経口投与または静脈内投与がインスリン分泌刺激を引き起こす示さました。

https://www.jci.org/articles/view/105455/pdf

Nuttall医師は1991年に論文「非糖尿病者とインスリン非依存型糖尿病(2型糖尿病)患者における、主要栄養素に対する血漿グルコースとインスリンの反応」(Diabetes Care 1991:14:824-38)でこの事実を再現しました。

タンパク質とアミノ酸は、血糖値を変動させることなくインスリン分泌刺激をすることができます。このことは主要栄養素について、これまでの考え方を全く変える必要がありました。同じ頃、胃(腸ホルモン)で産生されるホルモン、およびいわゆる「インクレチンの効果」に関心が高まっていました。

 

1986年、Nauckらは珍しいことに気が付きました。ヒトにおいて、経静脈的(点滴や注射)または経口的に投与されたブドウ糖のへの血糖の反応は同じでした。それは全く驚きではありません。ブドウ糖のような単糖類は、腸内で素早く、簡単に吸収されます。

 

しかし、興味深かかったのはインスリンの分泌でした。同じ値の血糖に反応して、インスリンの分泌刺激には大きな違いがありました。100%のバイオアベイラビリティがあるため多くの効果が強い薬は経静脈的に投与されます。これは、すべての薬剤が利用されていることを意味します。経口的に投与されると、多くの薬は肝臓である程度吸収され、部分的に不活化されたのち、全身へ運ばれます。よって、経静脈的投与された薬は経口された薬よりも一般的に効果があります。

訳者注

バイオアベイラビリティ:生物学的利用能と訳され、薬物動態を考える時に、服用した薬のうち、どれだけ体の中に入って利用されたかを表します。

経静脈的(点滴や注射)で投与した場合を100%として、経口投与との比を表します。

 

しかし、今回のケース、経口的に投与されたブドウ糖は経静脈的に投与されたものよりインスリンをはるかに刺激しました。さらに、このメカニズムは血糖とは全く関係がありませんでした。インスリンへの反応は血糖への反応とは同じではありませんでした。これは、過去の見解とは異なるものでした。最終的には胃がホルモンを産生していることがわかりました。このホルモンはインスリン分泌を増加させる「インクレチン」と呼ばれています。経静脈的ブドウ糖は胃を通りませんので、インクレチン効果がありません。これは、経口的にブドウ糖を摂取した後のインスリン分泌の50~70%を占める可能性があります。

 

これまでに、2つのインクレチンホルモンがヒトでは見つかっています。それはグルカゴン様ペプチド1(GLP-1)とグルコース依存性インスリン分泌性ポリペプチド(GIP)です。どちらのホルモンも、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)によって不活性化されます。サクサグリプチン(商品名:オングリザ)のようなDPP-4阻害薬は、インクレチンホルモン濃度の上昇を引き起こします。これはインスリン濃度を上昇させ、血糖値を下げるのに役に立ちます。

 

インクレチンの効果は、栄養素が胃に入って数分以内に始まり、約60分でピークに達します。インクレチンにはインスリン分泌刺激以外の効果があります。インクレチンはまた、グルカゴン分泌を抑制し、食べ物の胃排出を遅らせます。これにはブドウ糖の吸収をゆっくりとする効果があります。

 

血糖とは完全に独立したインスリン分泌経路が明らかになったことは新たな発見で刺激的でした。タンパク質がインスリン分泌を刺激する経路があったのです。おそらく、アミノ酸はグルコース非依存性のインスリン分泌のメカニズムとして、インクレチン分泌を刺激したのです。異なるタンパク質を摂取し比較してみると、特に牛乳および乳製品はインスリン分泌を強く刺激していました。

2004年にAJCNで発表された論文「健常者における牛乳と他の食品での乳糖と同程度のタンパク質摂取後の血糖とインスリンの変化」では、異なるタンパク質の効果を検証しています。牛乳とチーズはインスリンを最も分泌刺激しますが、魚のタラもこの研究では反応が見られました。

 

牛乳を他の食品と一緒に摂取すると、インスリン反応は増加します。「混合食として牛乳を添えた食事では食後のインスリンを上昇させる可能性がある」という論文では、スパゲティに加えて被験者に牛乳または水を与えました。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11641749

この図から明らかなように、水に対して牛乳を添えた食事ではインスリンがさらに増加しました。

 

乳製品のタンパク質は、血糖への反応(Glycemic Index)とインスリンへの反応との間に大きな違いがあります。ほとんどの乳製品はGIが極めて低値で、インスリン指数が非常に高値です。乳糖は牛乳中に含まれる炭水化物ですが、インスリン反応に大きな役割を果たすようには見えません。純粋な乳糖の影響を調べると、GIとインスリン指数は互いによく平行しています。

 

明らかになったのは、インスリン増加を引き起こす原因が乳製品中のタンパク質だったということです。乳製品中のタンパク質は主として、カゼイン (80%) とホエイ (20%) の 2種類があります。チーズの主なタンパク質はカゼインタンパク質です。乳製品のホエイ部分は、インスリン刺激においてより大きな役割を果たすと考えられますが、チーズにもまたホエイタンパク質のかなり残留がある可能性があります。乳製品に見られる分枝鎖アミノ酸は、特に強力なインスリン刺激の可能性があります。

 

インクレチンの効果は、ホエイに反応するインスリン分泌で一役担っているでしょうか?

論文「健常者における牛乳と他の食品での乳糖と同程度のタンパク質摂取後の血糖とインスリンの変化:アミノ酸とインクレチンの役割」では、インスリン分泌のメカニズムにある程度の脚光を浴びせています。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15531672

テスト食の後にグルコースとインスリンの濃度を測定し、さらに一歩進んでGLP-1とGIPの濃度を測定しました。

 

特に乳製品中のホエイプロテインがインスリン分泌を最も刺激するということを発見しました。実験に使用したタンパク質(タラ、ミルク、ホエイおよびチーズ)のいずれにおいてもGLP-1レベルは変わりませんでしたが、ホエイは他のタンパク質よりもはるかにGIPを多く分泌させていました。

 

少なくとも部分的にでも、最後の記事で議論したいくつかの発見を説明するものです。炭水化物はインスリンの唯一の刺激物ではありませんでした。タンパク質もまたインスリンの増加引き起こすのです。うわ~っ!参った!!!これはパラダイムシフトです(この考え方はすべてを変えます)。

 

ホルモンによる肥満⑬に続く – インスリンインデックス

亀ドク的「インスリンインデックス」

 

カロリーパート①へ – 何が体重を増やすのでしょう?

How Do We Gain Weight? – Calories Part I

 

講義を視聴するには – 肥満の原因3/6 – 食事療法の試み